2017年05月17日

加計学園問題を考える 批判すべきポイントと当たり前のこと

加計学園問題がようやくクローズアップされてきました。マスコミの報道だと、全てが悪いように書かれていることも多いのですが、実際には、悪くないポイントと悪いポイントが混ざっていますので、いったいどこが批判すべきポイントなのかを、全体の構造を俯瞰しつつ、書いていこうかと思います。

1 そもそも特区とは何か
一番に理解しなくてはいけないのは、加計学園も森友学園もそうなのですが、「特区」の枠組みの案件である、ということです。

特区の他の案件でもそうなのですが、今までの制度で規制されている地域や企業よりも明らかに特別扱いをされるわけです。そして、それは、規制を打破し、新しいサービスや価値を生み出すなどの目的をもっているから許されるわけです。
森友学園問題で、財務省幹部が「特別」と発言したようですが、特区は特別区域であり、はなから特別なのは当たり前です。そんな発言をとったところで別にたいしたことはありません。

また、加計学園の問題で、文部科学省の幹部に、総理の意向があるという内部文書が流れているということですが、内閣主導の特区である以上、ある程度総理の意向があるのは当然であり、よほどのことが書いている&総理の直接的な関与が認められない限り、法律的にアウトと認定するのは難しいと思います。総理自身が書いたものではないですしね。

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(関連:森友学園記事)
森友学園問題は何が問題か(前編) 大前提として籠池氏が大嘘つきである
森友学園問題は何が問題か(後編)
森友学園問題 籠池氏答弁の矛盾、真相予測、更なる今後の課題

そうではなくて、特区とすることで国として、得られそうな利益(新しいサービスが創設される、経済効果がでるなど国としての利益になります)と特定の事業者に与えられる優遇が釣り合っているかどうかがポイントになります。

たいしたサービスも発掘しそうにないのに特定の事業者にジャブジャブお金を与えていればアウトになります。

しかし、そもそも「釣り合うかどうか」については、結構分析が必要ですし、恣意性が入りやすいです。いろんな学者の意見があるので、都合のよい経済効果が比較的作りやすく、極端な高額の補助でない限り、アウトであるとは言いづらいでしょう。市民から見ても無駄だと思う公共事業なんかは、こんな感じで経済効果が「作られている」ものも多いかと思います。

ただし、加計学園の場合は、土地と建設費などで132億円もあるそうなので、確認する必要があるかと思います。一事業者にビジネスとして支払う額としても大きいのに、あげる額としては大きすぎます。貸与ならまだしも。他の例でもそんなにあげているでしょうか。

また、得られそうな利益、については、ビジネスとして存続していくことが前提ですが、ほんとうにビジネスとして存続できるのでしょうか?私が担当者なら獣医学会の意見をぜひきいておきたいところですが、今回の獣医学部新設の際には一切聞いていないようです。ふつう関係者の意見はきくのに、かなりバランスが悪いですね。
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2 加計学園の選定方法の問題点

加計学園の選定方法で問題とされているのが、地域を限定して獣医学部の新設の募集をしたところです。
地域を限定して、獣医学部がない地域に新設する、ということを要件として後から加えたことをもって批判している記事があるようです。これに対して書き加えますが、まず、ほんとうに後から加えたのであれば問題ですが、通常、後から加えるということはありません。このケースでも、公募が始まった時点では地域はすでに限定されています。つまり、正常な手続きが取られているわけです。

では、問題はどこなのか。

1 本当に地域を限定する必然性があったのか、それは適切な範囲であったのか
ただでさえ少ない獣医学部ですが、国家戦略特区である今治市や広島に限定して募集する必要があったのか、必要以上に狭すぎやしないか、ということです。私ならこう言います。
@現状、あまりにも少ない獣医学部について、今治市や広島だけに限定するのはおかしい、少なくとも、今、獣医学部がない県にも拡大すべき。また、全国各地域のペットなどの実数と四国や広島を中心に特に獣医が足りない証拠を示してください。さらに、獣医学部の空白地域が四国だけとされているが、私立大学や、獣医学科などは他にも多数存在しており、特に今治市や広島に限定する必要はないと考えるがどうか。特定地域に利することになりはしないか。
A公募期間が一週間しかなかったが、特区の緊急性を考えても、適切だったか。
B獣医学会の反対意見があったにも関わらず、会議にも一度も呼ばなかったが、会議の運営は適切であったか。
以上を踏まえてもう一度公募をやり直すべき。

まぁ、こうしたケースの場合、事前の折衝により、公募の前にほとんど決まってしまっているわけです。他の事業者も、公募の前から動きをある程度察知していたとしても、よほど強力な論理と準備がないと勝てません。マスコミとかも使わないと勝てないでしょう。こうしたケースは大小たくさんあります。
しかしながら、もしも、公募の際の設定条件が全て適切であれば、こうしたケースでもなかなか文句をいえません(あやしさ満点ですが)。

ところが、今回のケースはそれで終わりません。今回は、加計学園の理事長が安倍首相と懇意であることがおもいっきりばれています。これが、最大の問題点です。(森友学園の時は個人的関係がそこまで近しいとも思えなかった)
仮に、ここまで全てが問題なかったとしても、結果的に安倍首相と懇意である人に利益がわたったとなると、不当な権力の行使が疑われます。というか、疑われること自体が少なくとも倫理的に、場合により法律的にもアウトです。

通常の政策では、こんなあからさまに怪しい、明らかな利益誘導はおこりえないです。少なくとも一社入札の時点で、あやしさ満点なので、いろいろな業者に声をかけます。こんなざっくりしたやりかたは、政治主導の可能性がきわめて高いです。仮に安倍首相主導ではなかったとしても、です。

(脱線)法律なんかでも政治主導で作ると雑な法律が出来上がることがままあり、たいてい後から困ります(無電柱化推進法案とか)。

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3 そもそも構造改革特区の人員構成、運営は問題ないのか

特区の中で、最近、森友学園、加計学園と二つ叩かれています。
そもそも、これらはどういう体制で決まったのか関心が出てきました。
そこで国家戦略特別区域諮問会議の構成議員をチェックしてみました。

すると、驚くべきことに、法律の専門家が入っていません。政治家,経済の専門家や企業の人ばかりです。
実際には、企業や自治体の人も入ってくるとはいえ、法律の概念が弱いとなると、コンプライアンス大丈夫かよ、とか制度こうなってるけど、とか強力にいう人がいなかった可能性があります。

こうした構成員の選定については、通常、バランスよくやるわけですが、構成員の選定からすでに政治主導で決めているのでしょう。別にできるなら全然いいんですが、こうした案件で法律学者を抜くとかは、通常はありえません。内閣のやりたい放題なのではないでしょうか。構成員の選定がへたくそなのは内閣やNHK会長だけではなかったのですね、、、

安倍第二次政権以降の新しい構造改革特区は、そもそも官邸主導の度合いが強くなっています。逆に言えば、官邸でなんでも決めなければならない、という気持ちになってしまい、知っているところを手当たり次第に引っ張ってきたのでしょうか。。。?

地域の特別区域会議の構成員も公募はしていますが、平成26年頃に2週間だった特区構成員募集の公募期間も最近は1週間程度になっています。適切な人材が常にこの情報をHPでチェックしていて、一週間で全て人員が集まるなんてことは通常ないので、事前にある程度声をかけていて、ほぼそのとおりに決まっているものと推察されます(そもそも選定基準はわからないし)。

また、政治案件なのである程度いそぐことは理由になるとしても、通常、官庁のパブリックコメントや公募は基本一か月程度取ります。また、契約関係では、随意契約を避けるために、最低10日は必要なことになっています。10日をきるのは、のちのち契約を行う主体の構成員の選定としてはまずいと思います。

こうしてみてみると、安倍政権の三本目の矢の柱となる規制緩和を率先して行う特区の枠組みや運営自体が怪しいのかな、と思います。他の案件もよくみてみると、色々あります。また特におかしなところがあれば、適宜ピックアップしたいと思います。


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posted by newser at 15:06| Comment(12) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このような点を指摘しているマスコミがないのが大変残念です。ただの安倍おろしの為の道具になっており、問題の焦点がぶれている点が気になります。
Posted by at 2017年05月18日 18:05
そもそもがこの加計学園、今治自体は40年以上前から陳情してきて、今回前進した背景には岡山出身の民主党(現民進党)議員の高井議員が他党も巻き込んで何とかこぎつけた案件です。それも具体的に動き出したのは民主党政権時ですし。
今回これを問題視したのは香川出身の民進党議員さん。
上の方も仰ってるように安倍おろしの為に身内の苦労までなかった事にして攻撃材料にしてしまうという愚策ですね。これで四国民の表は無くなるでしょう。
Posted by at 2017年05月19日 09:46
思い込みや妄想で記載している部分を削ったほうがいい。
私がそう思うからそうなんだろう以上の文章になってない。
Posted by at 2017年05月20日 15:47
「足りてない」のは家畜などを扱う獣医なのでは?
昨今のように家畜への感染症の爆発的流行を見ると、とても「数は足りている」なんて言われてもふうんそうなの、とは思えませんよ。
ペットの数云々などの話しかしてない時点で視点が狭すぎると感じました。
獣医師ってイヌネコのお医者さん…ぐらいにしか思ってないのね。
Posted by 山本尚子 at 2017年05月21日 09:07
何で獣医が足りない証明=ペットになるんでしょうか
足りないと言われているのはもっと大枠での話ですよ

それに問題をいい出した玉木議員当人が、
獣医が足りてると言い張っている側から献金を受けていた件について
どうお考えでしょうか

また同民進党議員が去年獣医が足りないと訴えていたことはご存知ですか?
Posted by at 2017年05月21日 22:10
>というか、疑われること自体が少なくとも倫理的に、場合により法律的にもアウトです。

既に突っ込まれていますが、民主党政権時代に既に申請も済んでるんですよね
首相にもっと動いてと民主党議員が言っていた発言も動画で拡散されていますよ
利益が出たら?当たり前ですけど、利益が出ないなら学校なんて作らないんですが・・
当たり前のことと書くならこれはわかってないとダメでしょうw

>獣医学会の反対意見があったにも関わらず
反対意見が強すぎて変わらなかった半世紀、その間ずっと足りないと訴えていた地域
反対派は既に地盤もありますからそりゃ大多数で訴えるでしょう、自分の利権を守る為ですから
そこで特区なんです、一部の例外でやってみる
この趣旨がわかっているなら、反対派を呼ぶ理由が無いのもわかると思います

問題について時系列で物事を考えて見ましょう
申請経緯からして第一次安倍内閣の時代でも陳情されてて、蹴られてますよ
民主党政権で受け入れられてます
野党に落ちた民主党議員が首相に動けと言ってます
しかも怪文書を持ってきた民主議員への新設反対側からの献金
当人の家族がその反対派という事実
本人の新設止めます発言動画も広がってます
特にここ数日は新しい情報がどんどんとバレていっています
ご自分の記事に矛盾や間違いがあるとわかったら訂正するのも必要だと思いますよ、それが出来ずに嘘を重ねるあの野党みたいにはなりたくないものです
Posted by at 2017年05月23日 12:10
手持ちの情報は限られているのですから、現状については分からないことが多いのは仕方ありません。
それはそれとして「どうあるべきか」を前向きに考えておられて素晴らしいと思います。
頑張ってください。
Posted by at 2017年05月26日 02:29
前川前文科次官が会見したことで、首相官邸がゴリ押しして決まったことがさすがに誰の目にも明らかになりましたね。
「いつから陳情しているか」等ではなく、「誰がどのように決定したか」が重要なです。
下のコメントいろいろありましたが、われわれは、当時の文科事務方トップが「行政がゆがめられた」と言わざるを得ない状況の重みを考えなければいけないと思います。
Posted by at 2017年05月26日 08:14
それってただ単に時系列及び超党派で進めていたという事実を無視して、
一部分のみを捨象したっていうことを遠回しに言ってるだけじゃん
Posted by at 2017年05月27日 08:32
むしろ首相が動かないと進まないぐらい、獣医師会と民進党の玉木のような族議員がガッチガチに既得権益を守ってたわけでしょう。それはいいのかね?マスコミは全然言わないけどさ。
Posted by at 2017年05月27日 13:05
諮問会議のメンバーには法律の専門家は必ずしもいらないです。そもそも諮問会議が行政をやるわけじゃない。

そもそもこの手の「諮問会議」は、官僚任せだと先行事例に基づいてしか話を進められないから、それ以外の有識者から意見・発想を調達しようというものです。法律に縛られ、既成概念にとらわれた意見は欲されていない。

政府の意向にそわない、規制改革に積極的でない人なんていれる意味がない。既存の枠組みでやってればいいんだったら、ただただ官僚まかせにしときゃいいんですよ。彼らはその点に関しては極めて能力が高いんですから。

実際の行政に落とし込む際に、法律の裏付けするのは法の専門家たる官僚の役目です。法律に不足があれば、法律をつくってそれに対処するのが国会議員の役目です。
今回問題にされるべきは、「総理の意向」なる文書によって、本来とられるべき行政手続きがとられなかったのではないかという点ですよ。そして、それが総理の指示によるものかという点ですよ。

前者は文書として手続きの経緯が残っている可能性がありますから調査すればどうにかなる可能性はあるでしょう。
後者については、それについて政府に無実を証明しろっていったって「悪魔の証明」になりかねないのでまず時間の無駄でしょうね。
Posted by   at 2017年05月28日 14:23
獣医学部の無い四国に獣医学部があったらいいのに、と思う気持ちはよく分かる。四国は海底トンネルで繋がっているわけでもなく、台風が来たら本土と切り離される大きな島なのだ。

でも、やはり誰からも突っ込まれない形で決まれば良かったなぁと思う。だからこそ、今、すべてを明らかにして、それでも必要だ、ということになればいいのだと思う。
Posted by さわこ at 2017年06月09日 22:03
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