2017年04月04日

大変危ない水道民営化、問題点と方向性を探る

麻生財務相が、水の民営化をしようと発言し、先日閣議決定がなされました。

これからほどなく法案審議に入るでしょう。

今国会では、森友学園問題よりも、水道民営化とテロ法案がクローズアップされるべきであり、ここでもそろそろその話をしていこうと思います。今回は水のお話。
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まず、水道民営化について、なぜ財務相が発言するか、というところに違和感、ポイントがありますので、これをひもといていきます。

水関連は主に厚生労働省の管轄、水道事業は市町村管轄(省としては総務省)です。
財務省はあまり関係ないように一見みえます。なぜ財務相が出てくるのでしょうか。

これは、IMF(国際通貨基金)の水戦略に影響されているように見えます。財務省とIMFはかなり蜜月です。IMFの専務理事(いちばん偉い人)ラガルド氏は、フランス出身、大手三大水メジャーのうち二つはフランス企業です。ラガルド氏は、もともと貿易省、経済等の省の大臣をしており、しっかり自国企業と結託しています。

IMFは水ビジネスを各国に売り込み、各国で儲けています。水は、需要の価格弾力性がとても低く(高くても買わざるを得ない)、値上げをしやすいので、だいたい企業は経営努力もせずに儲け、庶民だけ困ります。IMFとしては、金を貸し出すなどでマージンを得ます。こうしたヤクザ商売が国際機関の名の下、世界的におこなわれているわけです。フィリピン、ボリビアなど途上国を中心にいくつもの国が犠牲になっています。ボリビアなどは、水が飲めず、結構な死者が出ていたようです。

前提ですが、そもそも、全ての国際機関が全て正しいことをしている、というのは、全ての国が全てについて正しいことをしている、というくらい幻想であり(国連も同じですが)、特にIMF(国際通貨基金)については、名前と違って、結構あくどいことをしています。そもそも国際金融、為替相場の安定という本分すらあやしいものです。特にIMFは日本を始め、先進国のいうことばかり聞いて発言している感じです。

だいたい、水ビジネスは、各国で高確率で失敗、調べた範囲では各国で水道代金が2倍から5倍に値上がりしており、今では落ち目ビジネスです。なぜ今やるのか?ということに関してもおおいに疑問が残ります。

逆から見れば、日本として、水ビジネスをやりたい、という視点も見え隠れします。
日本の浄水技術は高く、途上国からの要望もあります。

しかしながら、自分の国でビジネスをやっていない以上、なかなか売り込みも成功せず、また、都道府県は企業ではないため、他の国に参入するというのも難しいと思われます。特に対先進国です。
自国の水道事業は公営のまま、他国の水道事業に参入するのは公平ではないという理由から、他国の政府調達条件をみたせず、そもそも入札に参加できないことも多いでしょう。

そこで、競争力のあるところ(東京都とか)の水道事業は民間にし、世界にはばたかせるとともに、地方は合理化し、なるべく安いまま事業を継続したい、と趣旨に近い説明が政府からなされるでしょう。

しかし、この説明にはかなり無理があり、同時に知るべきことがいろいろあります。
これを、順に解説していきます。

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1 水道管の更新
前提として、日本には、戦後、戦前から使い続けている水道管がたくさんあります。そろそろ、これを新しくする必要がありますが、お金がありません(ちゃんと更新の費用を積んでいなかったり、国や水道収益以外のお金で水道費用をまかなっていたり、もととなる会計が特殊・適当だったり)。そこで、民営化し、民間事業者にやってもらおう、または、この機に乗じて値上げしてしまおう、という魂胆があります。が、甘いです。数年契約の民間事業委託であれば、水道管を更新する必要などなく、できるだけ投資負担なしで乗り切ろうというインセンティブがでてきて、逆に水質が悪化し、条件を厳しくすると企業が離れます(イギリスの例ではこうなりました)。日本以外の国ならともかく、せっかく飲用できている水が飲用水にならなくなる可能性があります。水道管の更新こそ、民営化ではなかなかできにくい事業であり、もしも民営化するならば、水道管の設備更新をしてからにすべきです。その際、税負担や水道費の値上げがあるかもしれませんが、それは仕方がありません。民営化しても、公営のままでも、水道管の更新をすれば水道の料金はあがります。これは必要な財政負担だと思います。そのためにも、ちゃんと今まで水道管の更新のための費用を積んでこなかったことを謝り、水道を全国的に値上げするコンセンサスを作るか、税金負担を続けるかのどちらかが必要だと思います。

民営化を機に、公会計から水道事業を独立させて水道会計を作り、いままでカウントしていなかった水道敷設・更新費用を借金として水道会計に乗せ、水道事業の収益と費用をバランスさせる→実質的にかなりの値上げにする、というのは、民営化うんぬんの問題というよりも、水道事業に関して国民への説明をする必要があるという部分でも問題があります(このあたりの会計の話が財務省と密接な関係があります)。まずは。戦後、水道事業をどのようなスタンスでやってきて、今後どうするのかを明確に示すべきであり、更新費用が足りないから民営化をする、とちゃんというべきです。

日本の水は飲用可能な水、海外では、水は飲用不可能な国が大半であり、そもそも達成しているレベルが全然違います。その分、水を買わなくてもよいなど、多大な恩恵を受けていることを、逆に、われわれももっと認識すべきです。浄水していても飲めないのは現在の豊洲の地下の汚染水くらいではないでしょうかw
よって、きちんと政府が説明するのであれば、ある程度は多めに見るべきだとも思います。


2 飲用可能な水道のセキュリティ
水事業をだれにでも売り渡すのは、国防、セキュリティの観点から、かなり危ないです。戦国時代でも水攻めをされればおしまいです。毒でも入れられてもおしまいです。
その観点から、水資源は市町村でそれなりに確保されてきました。近年、場所により、中国資本により買取されてしまった部分もありますが、それでも、まだ、水が出るところ、川、水を運ぶルートなどを全て買収されたわけではありません。しかしながら、水道事業が外資に買収されれば、有事の際に水を止められたり、即占拠される可能性があります。有事の際には、戦争する可能性のそこそこ高くなりがちな、隣の国がイギリスやアメリカ等価値観を共有しやすい国ならまだしも、日本って隣の国々とすらそんなに仲良しでしたっけ?
飲用可能な水道は便利である一方、いざというときに回りに井戸もなく、弱点となっているともいえます。他国の飲用不可能な水道と同様に議論すべきでないと思います。


3 日本の水ビジネスのために、全ての国の政府調達条件を満たす水道事業の民営化をする必要があるか
少し書きましたが、日本企業が他国の水ビジネスに参入しにくいのは、日本が他国に対して、水事業を開放していないから、という事情もあると思われます。二国間以上の貿易協定の交渉をする場合に、たとえば日本が水事業を開放していなければ、他の国の企業は日本に参入できないのと同時に、他の国へも参入できなくなります。これを懸念していることはあると思います。しかしながら、日本が現在参入しようとしているマーケットは、中東、アジアやアフリカがメインであり、ヨーロッパがメインではないと思われます。しかも、日本が参入する以上、単なる水道として参入するのは、水メジャーのノウハウに負けるだけでおろかな話であり、他の国では少ない、「飲料可能な水道」として参入すべきだと思っており、それこそが日本の長所を生かした参入だと思うわけです。そう考えれば、無理に、先進国に参入する必要はなく、高付加価値な飲用可能な水道の価値がわかる国にだけ参入すればよい話であり、そうすれば全ての国の政府調達協定を満たす必要もないわけです。それでも、中東などからおおいに引き合いがあると思います。公募がはじまるまでに、十分に飲用可能であることのメリットを各国に説得するまでが勝負であり、公募の段階では勝負はほぼ決するといえるでしょう。
水道事業の入札であれば勝ち目は薄いかもしれませんが、飲用可能な水道の入札であり、政府調達条件の緩和を入札までに相手国政府と交渉しておくことが勝つ鍵だと思います。そのための語学力の高いビジネスがわかる人の育成とかが結構大事かと思います(日本は特にアラビア語、アフリカの言葉などわかる人少ないですからね。。)。
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4 今後の日本の水道事業はどうすべきか〜まずは水道事業の効率化を図る
では、今の水道事業はそのままでよいのかというと、そういうわけではないと思います。現時点では、水道事業は市町村という小さい行政単位にぶら下がっており、多くの自治体ごとに水道事業をおこなっているため、その非効率性が問題となっています。まずは、いくつかの自治体ごとに水道事業の合併を行い、ノウハウを共有しあうなり、効率をあげるなりしなければならないと思います。これをやっているところはまだかなり少ないです。
それだけでなく、公務員を減らすために、民営化しようという流れも今後ありえると思います。そのためにも、今のうちに少しでも大きくまとまり、水道事業として力をつけておくべきだと思います。ある程度力がつけば、民営化することもできると思いますが、競争力のない今のままでは無理です。

たとえば、一律に、市町村単位から、県単位に移行するのも1つの手かと思います。ただし、一括で県単位に移行すれば、多くの不採算自治体の水道事業を大都市が抱えることから、世界にうってでる企業の育成という観点からは微妙かもしれません。とすれば、ひとまず、全ての自治体から水道事業を公営のまま分割、同時にできる限り近くの水源のものは統合しなおして、非効率さを減らすことからスタートするべきかと思います。水道管の更新も含めて行うべきですね。別に、一気に民営化しなくても、独立行政法人にして、給与水準を公務員よりも下げるだけでも、ある程度の費用削減効果は得られるでしょう。

5 先行事例の松山市をみる、水道事業の受け入れ・海外展開はどうすべきか

また、現時点では、海外展開に関し、どのように考えればよいのでしょうか。
そういう先行事例を作り、考えるために特区があるわけです。

@民営化し、海外の事業者を受け入れた先行事例としては、松山市の例があります。ここでは、設備の保守、点検、浄水場の運転の部分を外資に委託しております。
これと前後して、水道料金が2.5倍に上がっており、関連性を疑っている住民の不満がたまっています。
関連性や、政策効果はどうなっているのでしょうか。

調べる限りでは、水道事業全体の収支が改善していることはわかるものの、肝心の、民営化したことの効果が全然わかりません。HPに載っていません。費用についても、従来いくらくらいかかっていて、委託した結果、(業者の管理も含めて)いくらになったから、よかったなどの効果測定がすぐに出てきません(比較しやすいように、水道管の更新費用を除き、現在も行政がやっている水質検査の費用を除いた額でいいんですけどね)。

近年の委託額は、5年で17.5億円=1年あたり3.5億円ですが、それに対応した数値が載っていないと、効果があったかどうかわからないわけです。これでは困ります。

民営化する際には、きちんと結果がわからなければよしあしが判断できません。先行事例の松山市の事例をしっかり検証した上で、今後どうすればよいか国全体としてどうするか検討しなければなりません。

おそらくですが、すぐに出てこないということは、見込みが甘くてたいして効果が上がっていないのでしょう。行政はよく、公務員の給料を費用としてカウントせずに、事業の総額を出します。また、行政も企業と同じで、うまくいった事例は大きく、うまくいかなかった事例は小さく報道します。ま、いずれにしろ、海外の事業者を受け入れることについても、まだ検証や改善が必要な段階なのでしょう。

もちろん、海外に委託している現状をみると、有事の際のリスクがあがっているわけで、そのリスクの上がりとコスト削減が比較対象になりうるわけですが、それが仮に年間数百万円程度ならば面白い冗談ですよね。

政府調達条件を満たす先行事例として考えるため、無理やり水道の運用をまかせる、といった発想になっていますが、海外事例で水道の運用をまかせて失敗している事例などから考えると、必ずしも海外事例と同じくしてはいけないと思います。どうしても一部民営化したいのであれば、まず、設備、運用は公共または独立行政法人、料金徴収や宣伝部分などのユーザーに近い部分のみ民営化すればよいと思います。これは、電気通信や電気と似ています。水道も公共のネットワークの一種として考えるべきと思います。その上でもっとできるかどうかを考えても全く遅くはないと思います。


Aところで、逆に、民営前には、松山市の水道局、水道センターにたくさん職員がいたはずですが、どこへ行ったのでしょうか?一部は残っているようですが、多くは他の部署移動したと思われます。しかし、それはもったいない話です。
松山市の水道事業のノウハウを生かして、外国へ参入すべきです。特に、水道事業の技術者があまり、関係ない事業に配置転換されたと予想されますが、大変もったいない話です。受け入れるだけでなく、他の事業者と提携してもよいので、こちらからも海外へうってでて、ある程度成果を残せるのかどうか検証すべきでした。
引き合いがあるならば、今後ビジネスとして成功する確率が上がります。松山市、という意味では、相互の政府調達をクリアできる可能性もあります(通常、政府調達協定は国同士ですので、先進国参入はちょっと無理かもしれませんけれど)し、水道事業のノウハウをもった人が一時的に大量に余るなら、そこを民営化して国として支援すべきです(この辺の発想が日本にはないですよね。まぁ、公務員への評価がそれなりに高い日本では、公務員の多くはそこから起業したいと思わないかもしれませんが、水道に携わり続けたい人もいるかもしれず、外部人材を加えて起業してもよかったと思います。)。

6 水道事業をどこまで発展させるべきか
仮に、海外でも水事業を大々的にはじめたとして、日本発の水メジャーを作りたいというところまでやるのでしょうか?そのあたりの本気度についても疑問が残ります。もし、水メジャーを作るのであれば、世界的な流れが水の民営化に向いていなければなりませんが、今は、世界的には、水道事業の再公営化がブームであり、大逆風です。そんな中、新規に日本発の水メジャーを作る戦略、道筋がよくわかりません。
事業者の名前もたいしてあがってこず、強そうなのは東京都くらいなのかな、と思います。それならば東京都水道局だけ特区の対象範囲にいれ、参入できる国にだけ参入すればよいと思います。それでも、東京都全部の水が外資におさえられると困るので、東京都水道局からベンチャーでもおこしたらいかがでしょうか。そこから、途上国だけに展開したとしても、十分ビジネスにはなります。

結論
戦後、日本が経済発展する過程では、お金としてはODA、人としてはJICAなどで、途上国に井戸をたくさん掘っています。これは、途上国でも水が大事であり、生命線で必要とされたからです。
今では、さすがに新規に井戸を掘る数はその数はだいぶ減っていると思われますが、世界の中には、日本の、水に関する貢献を覚えている国もそこそこあるでしょう。 
まずは、そうした国や、日本の水参入を歓迎したいといってくれている国から水ビジネスをはじめてはいかがでしょうか。日本では、欧米に比べて、まだまだ水ビジネスへの企業の本気度が低く、今のままでは水メジャーに負けて終わりになるリスクもあると思います。
「飲用可能な水道事業」に限れば、別に今から参入しても十分商機があると思います。

日本の水道の特性、売り方、取引相手まで考えれば、別に水道民営化をしなくても、海外での水事業売り込みは行えるし、日本での水道事業の効率化も行えると思いますが、みなさまいかがお考えでしょうか。

などなどを考えるのが今国会の重要点であり、森友学園じゃないと思います。ほんとうは。


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posted by newser at 03:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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