2017年06月02日

小池都知事のライフワーク、無電柱化が将来に残す大きな禍根(前編)

小池百合子氏(現東京都知事、衆議院議員時代に無電柱化議員連盟を立ち上げ、議員立法で、無電柱化の推進に関する法律を通した)等が中心となって、自民党時代から推し進めてきて、現在も推し進めている無電柱化という政策があります。TVなどでも、「景色が良くなるのに反対する人なんていないでしょ?」という発言があるなど、明らかな世論誘導がみられます。
欧米では、無電柱化がすすんでいて、日本では遅れているという人もいますが、その認識自体がそもそも間違っていて、問題点やデメリットが多く、欧米と違い、電線の被覆技術が発展し、無理に無電柱化する必要のない日本では長年見送られてきたものでした。すでに、現在では、国会で無電柱化推進法が可決されていますが、それでもなお、無電柱化の現在の方式、範囲などにはデメリットが多すぎるため、私は大反対しています。
現計画の無秩序な無電柱化の問題点やデメリットを指摘し、改善方向を提示します。

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そもそも電柱や電線がなくなり、きれいな町になるかと聞かれると、半分はYES、半分はNOです。
電線が空中からなくなるか?と聞かれると、答えはYESです。電柱は地中に埋めてしまいます。後述しますが、仮に埋めるとしても、埋め方に大きな問題があります。
電柱がなくなるか?と聞かれると、これも答えはYESです。しかし、それに変わる「柱」が税金などで同じくらいまたはもっと多く立つ可能性があります。

現在、日本が行っている電線共同溝方式(名前は共同溝ですが、実際には電柱関連のものの一部を埋めるだけの溝)の電柱化のコストは、電柱の10倍〜20倍とされていますが、それは、単純に無電柱化するその時点だけの費用であり、実際には、それだけでまったくおさまらず、関連する費用の計算が抜けていますし、その他かかる費用、将来かかる費用も抜けています。

これらは、みなさんあまり認識されていないし、ニュースなどでたいして言われてもいないと思います。これらは、いったいどういうことでしょうか。

これら全容を理解するには、まず、電柱の歴史や経緯、現在の状況から知る必要性がありますので、順に説明していきたいと思います。


1 欧米と日本の電柱の歴史

日本の電柱は、戦後焼け野原の後から構築されたものがほとんどです。
電柱はわりと丈夫で、もともと50〜60年近く持つとされてきたため、そのまま運用されてきました。実際には、もうちょっと大丈夫なものもあれば、そろそろ取り換えなければならないものもあり、更新のタイミングである電柱も多いです。しかし、すでに更新してしまっていたものもあります。無電柱化が進みだしたのは、つい最近のため、今はどちらも無電柱化している状況であり、もったいないかと思います。
そもそも日本ではなぜ電柱で、欧米では埋めているのでしょうか。

欧米では、昔、電柱を使い、空中や家にそわせる形で配線をしていました。
ところが、
@電柱が被覆しておらず、裸の電線のままだったり、被覆技術(電線を黒いビニールとかできちっと覆えなかったのです)がイマイチであったため、火災や感電事故などがとても多かったので問題になっていたのです。
Aまた、一部の国では、競争政策として、電気とすでに地中に埋めていたガスを競争させるために電気も地中に埋めさせたという事情もあります。
よって、電柱、電線を埋めることにしたのですが、これらは計画的に進められ、100年から200年程度で行われています。もちろん莫大なお金がかかるからです。

日本は戦後お金がなく、急速に発展させたこともあり、無電柱化はできませんでした。
しかし、被覆技術をきちんとさせ、そこまで問題なく普及していきました。電柱がいっぱいあるのは高度経済成長のしるしであり、決して日本が世界に遅れているわけでもなんでもなく、恥ずべきものではありません。
まず、はじめに、それは言っておかなければならないと思います。

ちなみに、ロンドン100%、パリ100%、日本数%などという都市と国を比較した謎の数字が良く出てきますが、
イギリスでもフランスでもその他の国でも、国全体で見れば、田園部では電柱がいっぱいたっています。全国電柱を地中化しようという無駄なことを言ってるのは日本だけです。
そして、無理な推進のために、都市と国が並列されている奇妙な比較がいつも平然とされています。
だいたい、%を出す際の、元となるベースも違いますしね。比較自体が怪しさ満点のものです。

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2 〜なくならない柱〜 電柱の上には何が乗っかっているのか。そして、なぜ無電柱化費用が10倍〜20倍で収まらないか。

次に、現在、電柱には何が乗っかっているかについて、説明します。電気を送る電線以外に、光ファイバー、携帯の基地局、電話線、公衆無線LANなどの通信設備、USENなどの放送設備、電灯、監視カメラ、交通標識、信号、避雷針、防災無線のスピーカーなどがあります。

@まず、電線(電力線)や光ファイバについては、地中に埋めることになります。しかし、これが大きな問題を生みます。
電線や光ファイバというのは、一回ひいて終わりではないです。
電線は磨耗し、光ファイバは磨耗+技術進展に伴う情報伝送量の増大に伴い、引き換える必要があるということなのです。これらは、一般に、15年〜30年ごとに変えることになります。

これは、水道管やガス管の耐用年数(50年以上?)よりも短いのです。
日本の地下には戦前戦後すぐの水道管やガス管が大量にまだ埋まっています。しかも正確な位置すらわかっていないものもたくさん。これらもそのうち新しいものに変えなければなりません。特に地方は、まだ変えていないところがほとんどです=そのうち道路を掘り返します。


A次に、埋められない設備について、説明します。
さしあたり、電灯が問題になります。今でも夜道危険なところでは、電柱が関係なく、電灯がたっています。電柱があるところでは、電柱の上に置かれていることも多いでしょう。電柱がなくなれば、その土地はあきます。電柱のように小さな土地を個別に取得するのは大変ですので、電柱の土地の一部を行政が買い、必要なところに電灯をたてることになるでしょう。ここで問題なのは、果たして、電灯がついている柱の上に現在、他の何かが乗っているか?という点です。私が確認している限り、答えはNOです。
電灯は、何かが乗ることを前提とした強度の計算が行われておらず、ほとんど乗せようと思っていないためと思われます。よって、場合によっては、携帯の基地局や、監視カメラのために別の柱を立てる可能性が浮上すると思われます。特に監視カメラは、犯罪対策として、現在需要がとても増えています。
まだ、都会であれば、ビルの上などに置けばいいのですが、地方のどこでも高いビルがあるわけではないでしょう。木の上や、ないところは木を植えて木にのっけるのですかね。しかし、自然のものである、木の厳密な強度計算はできませんし、成長して形も変わります。監視カメラがおちて人が怪我をしたら責任をとるところはない(木の管理者は責任取らなそう)ので、やはり柱をつくるしかないでしょうね。
仮に、新しく電灯をたて、その上に何かをおくことを考えた場合、ある程度の強度が必要となります。今想定されていない何かをいつか乗っけることを想定するのであれば、柱は細くなく、太くなるでしょうね。それを行政が管理できるかどうか知りませんが独立行政法人かどこかに委託するのでしょうかね。そんな柱を作る話はまだ聞いていませんが、もし、電灯の柱には電灯以外何ものっけないとすると、電灯、携帯の基地局、監視カメラ、標識などの設置のたびに柱が必要なことになり、細い柱がいっぱいたち、その費用は回りまわって税金や携帯電話の料金から徴収されますが、あまり気にされない人が多いのでしょうか。
これらの費用は無電柱化の費用には今のところ含まれていません。つまり、税金と日々の支払いをあわせた普通の人たちの負担は10倍や20倍ではおさまらないんです。電線のみでない、トータルの移行費用、消費者の負担はいったいいくらになるのでしょうか?それをある程度明確にしたうえで費用負担の話をしてほしいものです。

携帯の基地局については、ビルなどがあるところについては問題ないでしょう。自動販売機にもおいているところもあります。しかし、高いものがないところなどでは、柱を設置する必要があるでしょう。

ちなみに、こうして苦労して無電柱化を行うと、地下から家の軒下に電線が入ったり、家の壁にそわせる形になりますが、仮にそれが嫌だ、といった人が無電柱化後に新規に入居してきた場合、法律上電線を家にそわせることは強制できないので、電柱が復活します。ご存じでしたでしょうか?さすがに東京都だけは新規電柱建設を禁止しているようですが、他の自治体では電柱が今も新設されていますし、復活もします。

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3 電柱の埋め方の問題点 〜新たに頻繁に掘り返すことが約束される歩道〜

電柱を埋めるにも色々ありますが、問題点をわかりやすく説明するために紹介するのは三つです。
まず、@欧米などでとられている直接埋める方式・・・電柱よりはだいぶ高いが比較的安価。
A日本が今回やっている電線共同溝方式・・・電柱に乗っているものの一部だけを埋める。日本の場合、基本歩道に埋める。費用が高価。
B欧米や発展途上国でとられている共同溝方式・・・水道、ガス、電気など大きな溝に全部入れちゃう。メンテナンスのたびに道路を掘り返す必要がない。下水道に電線などが入っているイメージ。大きいので費用は高いし、どこに埋めるかなど地中の調整が難しいので、計画的に行う必要があるため、昔からやっているか、途上国など新規に開発するところが中心。

私が問題としている点は、日本の今後の方式は、メンテナンス方式が劣悪だということです。
まず、道路は水道やガスで掘り返すから、水道やガスがどこに埋まっているかわからないのを理由として、電線共同溝は歩道に埋設するという点です。この方式だと災害がおこり、断線したら、道路も歩道も掘り返すことになりますし、余計復旧が遅れます。地中に埋めると災害に対して強いといわれますが、データがたまっている欧米は地震がほとんどなく、地震先進国の日本ではその理論が通用するかどうか実際のデータがたいしてたまっていません。つまり、本当に災害に強いのか、復旧にどのくらい時間がかかるかわからないんです。大規模最大が起こったら、公共インフラ復旧のために、仮に道路が一部しか壊れていなくても、自動車用道路だけを掘り返せばよかったところが、歩道も掘り返すことになるんです。大規模災害の時は、ただでさえ工事業者が大忙しなのに、です。
電柱は復旧速度が速いのですが、それに比べれば地中の電線などの復旧速度はかなり遅くなります。一部サイトで復旧も速くなるみたいなことを書いてあるものもありますが、大嘘で、それは人が入れる大きさの純粋な共同溝の場合です。日本の基本方式は共同溝と全然違う、小さな電線共同溝なのに、時に共同溝という言葉を使い、まどわせている人たちにはいきどおりを覚えます。
今後、日本におけるデータをためて検証し、無電柱化の方が災害に強いことが明らかとなれば、という大前提付きで進めるとしても、災害対応やメンテナンスのことを考えると、共同溝を前提とし、どうしようもないところだけ他の方式をとるべきだと思います。それをしないのは、水道は市町村、ガスはガス会社が持っているため、調整、合意形成がめんどうなど、早く進められないことを問題視しているからです。しかしながら、どうせ地中化するならば、財政が限られている中、長期的に負担のかからない共同溝方式を、ゆっくりでもいいので進めるべきだと思います。
(実際の運用データがたまっていないと地震以外のリスクも加味しにくいです。例えば、銅線を盗む犯罪が一時期流行りましたが、今後光ファイバや電線が盗まれたりすると、そこらへんの歩道を掘り返してまた埋めるまで数日間電気、インターネットや携帯電話が使えないなんてことになるのではないかと思いますが、盗難対策は万全なのでしょうか。津波がやってきて地表がはがれた時に埋まっていた電線が地肌にあらわれ、電気が水中に流れ出る気がします。電柱にのっている電線よりも地中に埋めているものの方が高電圧にしがちかと思いますが、その辺り大丈夫なんでしょうか。などなど。)

電線の摩耗や、ネズミにかじられたりして(ギャグみたいですが、結構こういうこともあります)電線や光ファイバが断線した場合にでも、道路がそのままであれば、できるだけ歩道を掘り起こさずに、ロボットだけで対応できるなどあればまだいいですが、そういった案が示された形跡はありません。メンテナンスになるべくお金をかけない方策を示すべきです。歩道を掘り返しまくることが目的でないのであれば。

新規に光ファイバなどを引く場合にも原則、いちいち道路を掘り起こさなければいけません。
それが原因でさらに新たな問題が起こります。

長くなってきたので後編に続きます。

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posted by newser at 01:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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