2017年06月05日

小池都知事のライフワーク、無電柱化が将来に残す大きな禍根(後編)

(前編はこちらです。)
この記事は後編から読んでも全容が把握しづらいため、できれば前編からのご一読をお願いいたします。


4 日本と韓国はなぜいちはやくブロードバンドが普及したか

日本や韓国の固定、移動を含むブロードバンド普及率は、早い段階から世界の中でも圧倒的に高くなり、かなり早い段階から整備率(お金を払い、使おうと思えば使える世帯率)がほぼ100%になりました。
対して欧米では整備がだいぶ遅れました(まだ遅れています)。これは、競争政策の違いもありますが、光ファイバの敷設コストの差が大きいと思われます。日本、韓国は電柱だらけです。(韓国・ソウルは今は無電柱化をかなり進めていますが、韓国は日本に比べてそもそも大きな都市の数が少なく、無電柱化すべき場所が日本に比べて少ないです。)
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日本の光ファイバ敷設は電柱に載せるだけのところも多く、わりと簡単でしたが、欧米は光ファイバもいちいち埋めています。それが、全て地中に埋めるようになるとどうなるでしょうか。
地中化した際に光ファイバを埋めていればよいですが、そうでない場合、地中に埋めた事業者の許可がないと埋められません。また、新規に誰かの家に光ファイバを導入する際には、いちいち掘り返す必要があることもあります。そのため、一部の事業者の光ファイバの提供が受けられない事例が発生しています。
こうした土地は今後安くなる可能性もあります。無電柱化が土地の価値を上げるという話もありますが、光ファイバが使えない土地が今後も高値を維持できるでしょうか?光ファイバが使えないところに、お金のない人々が住むようになり、貧困によるデジタルデバイドがおこる可能性もあります。特に、田舎で無電柱化すると、光ファイバが使えない地域で、かつ、スマホなんかもあまり使えなかったりすることもありえます。

ちなみに、掘り返すとなると、その費用はだれが払うのか?という問題もあります。現在、近くに光ファイバがなかった場合で一定の費用までは事業者負担、それを超えた場合は、光ファイバをひきたいと思った個人が支払うことが多いです。この慣習は基本的に変わらないでしょう。そうすると一部個人負担になるわけですが、電柱から引っ張ってくるだけで良かったものが、場合により地面を掘って、そこからひいてこなくてはならないため、場合により費用が格段に上がります。光ファイバを敷設している業者は、実際には、ほとんどの地域で、NTTと電力系+KDDIの二種類くらいしかない(一部地域はケーブルなどあり)のですが、電力系がないところは一種類しかなく、NTTの光ファイバが地中化されていればひくことが出来ず、結果的に事業者またはひきたいと思う個人が光ファイバを引くこと自体を断念することが発生します。(NTTの光ファイバが近くになければ、NTTの回線をかりているフレッツ光の各事業者やソフトバンクは使えませんのでほぼ電力系だけになります。そして電力系は全国どこでもあるわけではないです。)
(参考)光ファイバがひけない例についての解説など
そして、現時点では、光ファイバの料金があまり下がらないことをもって、全ユーザーで知らず知らず負担していると思われます(本来なら卸売り価格がもっと下がり、競争により光ファイバのユーザー料金はもっと安くなって良いはずなのです。)。

今後、例えば動画が次々と飛び交ったり、AI、IoT(モノのインターネット)が進むなど技術革新がおきれば、容量はもっと膨大になる可能性があります。光ファイバーは、摩耗のみならず、容量を大きくするために技術的に引き換える必要がある可能性も高く(例えば、今は、光ファイバのコアの使い方や伝送方式に規格の変更が見込まれています。)、また、本数を追加しなければならなくなる可能性も高いです(十分に光ファイバがあるところを除く)。
それがなく、速度が遅いままだと、例えば、最新のAIつきのTVを買って、自宅の回線につないだところ、自分のみているTV番組を見て、そこからお勧めのビデオを買うことは薦めてくれるが、見ようと思っても、速度が遅すぎてダウンロードはできない、みたいな笑い話が生まれます。
日本が他の国よりも光ファイバを引く費用が高くなれば、次の通信の技術革新のタイミングでは、回線の整備において他国に後れをとる可能性が高いです。さらに、それがAI、IoTを含めた産業構造の転換に絡めば、日本の産業全体に影響を及ぼす可能性があります。

また、光ファイバが家に通らないだけならまだしも、近くまで通っていない地域や電柱に変わる柱がない地域はもっと深刻になる可能性がある点として、携帯電話の電波が悪くなる可能性があるということです。
例えば、私からあなたに電話をかけた時、スマホでもガラケーでも、今後は、電話でも、途中は光ファイバを通ることになります。日本の光ファイバの設備率、携帯電話の電波が入る場所の割合は100%ではありますが、これらの100%というのは、人が住んでいるところでどれだけ電話が使えるか、という率、つまり人口カバー率です。よって、そもそも人が住んでいないところは電話がつながらなくても問題ないとされていたのですが、電柱が少なくなることで、そういうところでも電話がつながるようにすることが今まで以上に難しくなるので、今まで以上に人が住んでいないところでは圏外になる可能性が高くなると想定されます。また、当然ですが、光ファイバの敷設費用が上がる以上、その使用料もかなり上がる(電柱はかなり安い仕組みになっているが、地中に埋めると歩道の地下を国や所有者に高い使用料を払います。)ため、それを使っている、固定電話、携帯電話、無線ルーターの料金なども上がります。
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5 TV局、マスコミ関係者(マスコミ出身の小池百合子を含む)、政治家が賛成なわけ

若者の放送離れが起きており、若者を中心にインターネットへのシフトチェンジが起きています。
光ファイバの料金が上がり、スマホやインターネット、それらを使う動画サービス、ケーブルTVなどの料金が上がり、新規敷設が減れば、それだけ視聴者がTVなど放送側に戻ってくる可能性があります。マスコミ関係者も歓迎なわけです。インターネットなどが苦境に陥るほど、放送業界が潤い、マスコミ出身の小池氏なんかはそういう効果を狙っていると思われます。

また、道路を直す、作る、というと猛反対する国民も、電柱を埋めて美しい街にしよう、というと、きれいに聞こえるので、反対が少ないです。しかも、水道やガスで近く掘り返す予定のある車の道路ではなく、普段掘り返すことの少ない歩道を狙っているあたり、きわめて悪質です。
歩道を直せば公共事業が増えるので、政治家としては票がとれます。よって、地元に利益誘導している政治家であればあるほど賛成するわけです。
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6 今後目指すべきだと思う方向性

論点をまとめると、

・将来にわたり必要な公共事業は、しっかり考えて効率よく行うべきだと思います。もし、無電柱化が必要だとしても、将来にわたりランニングコストが低そうなのは、共同溝であり、埋めるだけなのに異常に高くつく電線共同溝ではありません。電線はなくなりますが、柱はなくなりませんしね。

・ただし、今の無電柱化方式はデメリットが多すぎます。まずは、電柱、電線、光ファイバ以外のものも含めてスイッチやメンテナンスするのに全部で一体いくらかかるのかコストをきちんと出した上で、やり方を再考すべきです。もちろん家計に与える影響まできちんと算定すべきであり、水道やガスの更新のタイミングと一緒にする、歩道でなく道路に埋めるなど変更して、掘り起こしは最小限にすべきです。

・無電柱化する範囲について、東京都や一部の観光都市ならまだしも、地方都市や田園なんてほとんどの国で無電柱化していないわけで、そこまで無電柱化するメリットを考え直すべきです。

・マスコミは無理やりな世論誘導をやめて、両論併記で報道すべきです。自分たちの利害に絡むからと言って、取りあげかたが一方的すぎます。

・いい加減、道路族の政治家は、無駄な道路の掘り起こしをやめて、国にとって長期的に必要なものを作るように検討すべきです。ただでさえ、戦後作った道路の更新だけでも毎年3〜5兆円程度かかるといわれているところ、これ以上無駄に増やすのはおかしいです。重要なところに財源を振り分けるべきです。

・これだけデメリットがあり、従来からかなり強く逆風を受けていた無電柱化を、小池氏が強力に推進してきたする姿は調べれば調べるほど異常です。選挙の票取り、マスコミに利するため、の他にも、何か関連業者との裏取引があるのではないか?と疑うレベルです。これは引き続き調べます。

くらいでしょうか。

この議論を昔から主導してきた、小池百合子都知事(現希望の党党首)は、なぜか過去に自分でも言っていますが、こっそり公共事業をジャブジャブやることが大切だと思っている人です。それをもとにして票がほしいと思っています。少し脇にそれますが、豊洲問題で判断が遅れれば遅れるほど、築地市場の人ではなく、間接的に、築地市場を改修する業者や、豊洲市場の設備を維持する業者などにジャブジャブお金が流れているわけです。これは都民の税金を使って、こっそり公共事業をやっているのと同じです。少し調べれば他の問題でも税金を無駄に使う方向に舵が取られている案件がいくつもありますのでご興味ある方は調べてみてください。

国のことをちゃんと考え、丁寧にすすめていく人が無電柱化を進めるのであれば、今のように問題山積のまま進んでいくわけはありません。そもそも進めるかどうかも含めて、進め方をもう一回考え直すべきです。海外から客がきたときにイメージが悪いから急いで埋めるというほど急ぐ必要性がある政策ではないです(ただでさえ、東京五輪に向けた建設ラッシュで人手不足、人件費なども上がり、公共事業は従来よりも5割以上割高になっているようです。東京五輪後の建設需要減、建設業者の仕事不足をみこして東京五輪後に建設を検討するならまだわかりますが、、、そもそも道路建設は高速道路など今ある道路の更新コストだけでも年間何兆もかかります。(参考)http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS25041_V21C13A2EE8000/)。国として進めるとしても、都として進めるとしても、もっとお金を使ってしなければならないことはいくらでもあり、優先順位がおかしいと思います。こんなひどい公共事業をやるくらいなら、穴を掘って埋めてほしいと思います。それならば現在の財政負担にはなりますが、子孫に禍根を残しません。が、今の無電柱化の方式は将来の財政負担をも約束してしまうだけのものであり、確実に子孫に大きな禍根を残します。

(関連)豊洲移転問題から見る小池都知事の悪政

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posted by newser at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする